人間失格

 最近の娘のお気に入りの遊びが本棚から本を取り出して放り投げること。その本をなめること。そしてそれを片付けるのが私のお仕事。本日の娘がセレクトした一冊が太宰治の「人間失格」・・・。娘が無言で何か私に問い掛けているようで怖いです。
 この「人間失格」は何となく読む気になれないでも読んでみたい、そんな本でした。
 狂人、変人として描かれてい葉蔵の人生。無邪気さを装って表では笑顔を絶やさず周囲を欺いていた幼少時代。何人もの女性とかかわり(なぜかもてる)自殺未遂を繰り返しながらしまいには薬物におぼれていく・・・。ずっと重い空気が流れていくんですが、誰にだって葉蔵に似たところがあるんじゃないかなあ。私だって葉蔵に似た「道化」の部分があるし。だから「人間失格」というタイトルはドキッとします。でも私はこの作品の最後の言葉がとても好きで救われます。「私達の知っている葉ちゃんは・・・神様みたいないい子でした」
 この作品を書いてすぐに自殺した太宰治だけれど、「人間失格」はただの暗い小説ではないんだなあと思う・・恥の多い生涯としてかかれた太宰の生涯、でも意外に太宰は明るい心の持ち主だったんじゃないかな。

人間失格 (新潮文庫)

人間失格 (新潮文庫)